眼科専門医認定試験 合格体験記

正攻法にこだわり過ぎない

第31回受験

大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室 家室 怜

【はじめに】

専門医試験の対策でのベーシックな勉強法が「眼科学」+「眼科専門医セルフアセスメント」+「直近の過去問」であることは多くの方がご存知と思います。私もそのやり方に従うと決めていましたが、あまり知識の定着が図れなかったため軌道修正を要しました。同様の悩みを持った方には参考になるかもしれません。

【具体的な勉強法】

12月から実際にセルフアセスメントを解いて、該当部分の眼科学を読むというスタイルで勉強を開始しました。あまり時間をかけずに1周することを優先したため、実際は問題を解いた「だけ」、眼科学を読んで確認した「だけ」の状態でした。さらに言えば、眼科学を読んでも知識として定着していく実感が今一つわきませんでした(理由は後述)。それでも身になっていると信じて進み続けていました。
1月上旬に第一章「構造とその病態」まで解き終えました。区切りがよかったので間違えた問題を復習してみたところ、記憶が曖昧で全く同じ間違いを繰り返す有様でした。このことがあって、自身の勉強法を問題視し始めました。このままやり方を変えずにセルフアセスメントを2,3周したところで合格水準に達しない予感があり、復習用のノートを取ることにしました。
ノートを取る際には、簡単に画像を切り貼りでき、手書きでも勉強できるペンタブレットを選択しました。手書きでノートを取りつつ、参考になる画像・写真・表を種々のソースから貼り付けていきました(この場合、私的使用のみ可です)。作成したノートはスマートフォンに同期して閲覧できるので、空き時間にノートを見直すという復習体制を確立でき、知識を着実に定着させることができました。
3月末までに多くの先輩方はセルフアセスメントを1周しています。私はというと、第二章「機能とその病態」までしか終えていませんでした。焦りはありましたが、この時期は直近の過去問確認が優先と考え、同期で解説を作成して持ち寄る勉強会を開催しました。
4月半ばに入って、ようやくセルフアセスメントを1周しました。手応えはあったので、2周目は一般問題に限定して解き直し、臨床問題は別冊の写真を見て思い出せないものだけを見直すに留めました。
残りの時間は直近の過去問を徹底して確認することにしました。日本眼科学会にアップロードされている平成24年までの過去問をゴールデンウィーク中に確認し、同期で相談しました。一通り過去問の確認を終えたことで、この時期から自信を持てるようになったと思います。

【参考書籍・雑誌】

前述のように私は眼科学を読むのが苦手でした。疾患各論は記述が主体で表が少なく、記述を自分で咀嚼する必要がある点や、教科書という性質上、症例報告のような具体性がない点が受け付けませんでした。代わりに最も利用したのは「あたらしい眼科」の特集とセミナーでした。実際の診療に沿った内容で読みやすく、新しい情報が多いので読み漁ってはノートを取っていました。
その他に日本眼科学会のwebページに挙がっている各種ガイドライン・答申は簡単に目を通し、日眼会誌で挙がった最近のトピックはノートを取るようにしました。

【口頭試問対策】

口頭試問では過去問は出題されないと聞いてはいましたが、回答をスムーズに言えるようにはしておきました。いざ本番が迫ってくると不安になるものです。過去問で本番のイメージをつかんで不安を軽減しておくことをおすすめします。

【試験前日~本番】

渋谷には前日入りし、同期の皆で夕食をとりました。前日は互いに精神面の管理を優先し、試験のことはあまり話さずにリラックスすることに努めました。
1日目は筆記試験。一般100問、解いた後に確認でもう1周したら終了時間になっていました。臨床50問、こちらは時間が余りました。終了時間よりも前に退席していく人も多くいました。なお、会場内では電子機器使用に制限がありますが、試験官の先生から全体アナウンスがあるまでは使用可能でした。
2日目は口頭試問。携帯は回収され、待ち時間中に使用可能なのは紙類と鉛筆のみです。
私は順番の運が悪く、3時間ほど待ち続けることになりました。実際の試験では試験官の先生方が非常に和やかに試験を進めてくださいました。

【最後に】

若干特殊な方法をお示ししましたが、試験対策のゴールは「過去問を理解して類題に対応できるようにすること」です。これを達成できるのであれば、その過程は重要でないと思います。ご自身の状況に合わせて柔軟に試験を乗り越えてください。ご健闘をお祈りしています。