眼科専門医認定試験 合格体験記

メンタルを保つために

第31回受験

筑波大学医学医療系眼科 森川翔平

【はじめに】

第31回日本眼科学会専門医認定試験に筑波大学眼科医局の同期5人が無事に全員合格することができました。研究と教育を行う大学病院勤務、膨大な臨床をこなす市中病院勤務、基礎実験に明け暮れる大学院生と、それぞれ境遇は異なりますが全員揃ってONE TEAMでこの難関を突破できたことは本当によかったです。今回このような機会をいただきましたので受験体験記として報告します。今後受験予定の方に少しでも力になれれば幸いです。

【勉強を始めるその前に】

まず何が一番大事かと言いますと、「知識量」でしょうか、「普段の臨床能力」でしょうか、違います。一番大事なのは「受験資格」です。当然ですが受験資格がなければそもそも会場にたどり着けませんので、合格などあろうはずがありません。そこでまずはしっかり受験資格を手に入れましょう。手術件数や、学会発表などこなすべきものは多々ありますが、最大の関門はなんといっても論文作成です。当然最初から一人で作成できるはずはありませんので上司の協力も必要です。なるべく早くから上司と相談しながら作成してください。私以外の同期は早々に論文を書きあげておりましたが、私の論文は一向にacceptされませんでした。片手の指では足りないくらいrejectされてしまい、acceptをいただいたのは受験年の2月でした。これではメンタルが持ちませんのでなるべく早く論文を書き「受験資格」を手に入れることが大事だと思います。

【私のストラテジー】

さて、受験資格を手に入れたら、後は勉強して試験に合格するのみです。私の基本的な考えですが、大事なのは「試験前のメンタル」だと思います。医師国家試験の時もそうだったと思いますが、何かの拍子に途中でテンパってしまい、気分が落ち込んでしまい合格できなかった人達がいます。普段のメンタルであれば大体合格できるはずです。では、どのようにして「試験前のメンタル」を保つのか。私は「これさえ見ていれば受かる(はず)」というノートを作成することでした。内容はいたって簡単、日本眼科学会のHPに載っている第24回以降の過去問を解き、周辺知識をメモするだけ。A4ノートたったの2冊でこと足ります。

【勉強開始時期】

2019年1月から開始しました。2週間程度、教科書を読み第24回の過去問を解いたところ101点でした。合格点は120点と言われております。その後はちょこちょこ「眼科ベーシックポイント」を読み3月末に第25回の過去問を解いたところ・・・、なんと101点でした。ここから完全に火がつきました。よって本格的な勉強開始時期は3月末となります。

【勉強内容】

とにもかくにも過去問をしっかり解いて、周辺知識を整理する。そしてわからなければ上司に聞く、ORTさんに聞くを繰り返します。そして最も大事なのは同期とdiscussionすることです。幸い私は賢い同期と同じ職場でしたので毎日のように聞くことができました。これは自分の立ち位置がわかるので非常に重要です。眼科専門医試験のバイブルである「セルフアセスメント」は膨大な量があり、また現代とはかけ離れた解答などもあり効率が悪いのでほとんど使用しておりません。ただ、苦手分野(私の場合は斜視や解剖関連)を集中的に、数をこなすことは向いていると思います。とにもかくにも過去問です。私は第24回から順番に解き24〜26回は不合格でしたが27回以降は合格でした。これを踏まえると最低3年分解けば受かるということになります。実際そうかもしれませんがマージンは必要だと思います。ですから過去3年分以上の過去問をマスターすることが肝要だと思います。

【試験前日】

渋谷の会場近くのホテルを、同期と予約しました。令和で流行りの計画運休なども完全には否定できないため徒歩圏内をお勧めします。前日はメンタルを保つためにタピっても良いでしょう、にわかファンとしてラグビーの笑わない男を見るのも良いでしょう。私は自作ノートを読み返しました。ただそれだけします。そしてアルコールは我慢して早めの就寝としました。

【試験当日】

朝は雨が降っていました。コンビニで傘を購入し会場へ。持ち物は自作ノートのみです。繰り返しますがこのノートは知識を整理する意味もありますが最も重要なのはメンタルを保つためのアイテムです。周りでは問題に関して色々な声が飛び交いますが、とにかくノートを見てメンタルを保ちました。

【おわりに】

人生最後でかつ最も重要な試験になるかもしれない眼科専門医試験、「4年に一度じゃない、一生に一度だ」という強い気持ちで一発合格を狙いましょう!