眼科臨床紀要について

「眼科臨床紀要」は、平成20(2008)年に「眼科臨床医報」と「日本眼科紀要」が統合する形で創刊されました。両誌はともに日本の眼科学雑誌として、非常に長い歴史を持つものでした。

「眼科臨床医報」は、新潟の眼科開業医 桑原勇七郎氏により、明治38(1905)年に創刊され、平成18(2006)年に100周年を迎えました。明治30(1897)年に創刊された「日本眼科学会雑誌」と並び、明治・大正・昭和・平成と4代100年にわたり、わが国の眼科の発展に貢献してきました。

「日本眼科紀要」は、第5代大阪大学眼科教授の宇山安夫氏と有志が日本眼科紀要会を組織し、昭和25(1950)年に創刊されました。以降、歴代の大阪大学眼科教授が編集長となり、投稿論文の掲載や眼科関連学会論文の掲載によって、主に西日本を中心に発展してきました。

日本の東西で確固たる地位を築いてきた両誌が統合に至ったのは、当時の「眼科臨床医報」の編集長 帝京大学教授 丸尾敏夫氏と「日本眼科紀要」の編集長 大阪大学教授 田野保雄氏の英断によるものです。日本語の眼科投稿論文全体が減少する時流の中で、若い眼科医が初めて投稿する窓口、また臨床経験に基づく良質な論文の受入口を残すべく、力を合わせて雑誌を継続させることを選択しました。初代編集長は、東京大学教授 新家 眞氏が務め、旧眼科臨床医報と旧日本眼科紀要の編集陣が協力として体制を整えてきました。両誌に対するリスペクトの形として、創刊以来「眼科臨床紀要」の巻数とともに両誌の通巻号を併記してきました。

創刊から10年、「眼科臨床紀要」は平成30(2018)年には第11巻を迎えました。これを機に編集陣を一新するとともに、「眼科臨床医報」と「日本眼科紀要」の巻数併記を終えます。

両誌の築き上げた伝統を踏まえた上で、学会誌とも商業誌とも異なる性格を持つ雑誌としての利点を活かしつつ、今後の日本の眼科学に貢献できることを目指して参ります。